旅する精神 移動する身体

失われた街、旅を、移動する住まいを、ひとところに居続けられない(いつかは失われる)身体の記録。

大阪中津スパイス通り(1)

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カレーマップ

大きな画像はこちら から

 

ということで中津である。最近は梅田扱いされることも多く大阪以外の人々にとってはなかなかなじみのない街かもしれない。だがこの街、梅田まで徒歩圏内であることもあって、クリエイター関係の住人も増えてきており、なかなかのハイセンスな地域と変貌しつつある。一方で、阪急の高架下には昭和そのままの年季に入った居酒屋があったり、完全に時代の波に忘れ去られてしまったような商店街や改築間近のマンションといった景色が続いていて、なかなかに味わい深いエリアだ。

 

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中津の町並み。こんな感じでアパートが立ち並ぶ。

 中津のカレーの歴史は非常に古い。何しろカンテグランデ発祥の地だからだ。この店、開店は1972年と約半世紀に及ぶ上に、大阪のみならず関西一円にインド風の紅茶「チャイ」と」本格派のインドカレーを広めたことでよく知られた名店だ。アルバイトでウルフルズが働いていたり演劇やライブイベントといったチラシが置かれていたりして、飲食店というだけなく、サブカルチャーの発信基地という感じでもあった。

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カンテグランデのエントランス。手作り風だがなかなか手が込んでいる。

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カンテグランデ中津本店の店内。現在はこんな感じ。

そんなちょっとした歴史的背景に先ほども言ったような立地の良さもあいまって、いろんな店があちこちに今もあり、休日にはあか抜けた若いカップル(といっても気合の入ったデートという風情ではない)がのんびりと散歩をしているような場所となっている。

 

そんな中津の今は、というと、とにかくスパイスカレーが熱い。個性の強いエスニック、中でもスパイスカレーが次々に開店し、休日ともなれば人気店には行列ができ、空いてると思って入店しても「予約でいっぱい」とか「カレーが切れまして・・・」と申し訳なさそうに断られることも珍しくない。スパイスカレーだけではなく、カオマンガイ(というにはずいぶん洗練された雰囲気だが)を中心に、とにかくビジュアル映えのする料理を供する「Think食堂」や本場そのままの激旨ビリヤニが食べられる「Diamond Biryani」などスパイスフード的にも幅のある展開にもなりつつあって、昨年末に神戸に引っ越すまでは頻繁に足を運んだ。

 

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Think食堂のカオマンガイ(手前)

Think食堂

Think食堂の入り口

 

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ダイヤモンドビリヤニの外観

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ダイヤモンドビリヤニのチキンビリヤニ


この二つ、今ではなかなかの人気店だ。特にThink食堂は抜群の盛り付けの美しさもあって女性に大人気。それゆえ、夜は予約必須となっている。ランチは平日早めに行けば何とかありつけるので、近くで働いている、もしくはウィークデーが休みなら一度行ってみてほしい。見た目だけでなく美味しい看板メニューのカオマンガイをはじめ、イイ感じのスパイシーな食事が楽しめる。(カオマンガイ、東京では大人気なのだが大阪ではスパイスカレーに押されたのか少し人気控えめとなっているのでこの店は押さえたほうがいいと思う)ちなみにこの店、中年の男性二人で運営してるのだが(若干意外に感じるかもしれない)、二人の佇まいもなかなかに垢ぬけていて素敵である。


一方のダイヤモンドビリヤニも最初画像の通り閑古鳥が鳴くような苦戦が続いていたが、オリジナルのチキンカレーをランチに加えてみたり、メディアでのビリヤニ推しもあって今ではなかなかの人気だ。ただしここのビリヤニ、凄く美味なのだが一人前の量が非常に多い。女性なら2人で1人前でも良いくらい。ここだけ注意して訪れれば本場のビリヤニが堪能できる。牡蠣など季節ごとのビリヤニも提供しているのでこちらを狙うのも良い。もちろんしっかりした量を食べるだけの胃袋があれば写真の通り小皿のピクルスやカレーでいろいろ味変も楽しめる。

ちょっと長くなったので、本題のカレー話は次項に続く。