旅する精神 移動する身体

失われた街、旅を、移動する住まいを、ひとところに居続けられない(いつかは失われる)身体の記録。

大阪中津スパイス通り(4)

ダイヤモンドビリヤニとThink食堂を抜けるとJR東海道線支線の高架をくぐることになる。御堂筋線中津駅も近いのだが、カレー的にはまだ中間点の手前といったところだ。ここから少し南、つまり梅田寄りに行ったところにあるのが「ちょい飲み食堂 tutini」だ。名前にカレーを謳っていないのでカレー店としての認知度は低いのだが、ここにもしっかりとしたカレーが置いてある。

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※画像がなかったので食べログからのリンクです。

 

御覧の通りのシッカリとしたカレー。しかも喫茶店っぽいアレではなく、しっかりスパイスカレー寄りのメニューとなっている。これまで紹介したSOMAや梵平が中津カレーのメジャーどころだとすればここは穴場といっていい。SOMAの行列に辟易してしまったり、梵平のライスが切れてしまったときはこちらに寄ってみるのもいい。食べログの点数も3.5を超えているくらいなので後悔することはないと思う。中津はこういうところも店を構えているのでまったく抜かりがないと思うのだ。

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そして城北公園通り沿いにある地下鉄御堂筋線中津駅、ここから通り沿いに北へ行くと通りに置かれた「スパイスカレーまるせ」の立て看板が目に入ってくる。ここもまた百貨店のカレーフェアに呼ばれるくらいの名店だ。

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「スパイスカレーまるせ」のあいがけ2種盛り

「スパイスカレーまるせ」のあいがけ2種盛り。見た通り女性の店主が女性向けを意識して作った極めてルックスの美しいカレー。味も大変おいしいのだが、カレーにパンチやボリュームを求める向きには少し足りないかもしれない。

 

https://tblg.k-img.com/restaurant/images/Rvw/87690/87690979.jpg※画像は食べログより

こんな感じの外観。しゃれた古民家カフェでカレーを出す。という体なのでお昼は女性客でいつも一杯だ。味はもちろんしっかりしたスパイスカレー、なのだが、アロマ主体のスパイスなので「辛さで攻める」という感じでは全然ない。食べやすい。見た目もきれい。SNS時代には最高のカレーなのかもしれない。「#香りを伝えたい!」みたいなハッシュタグが付いてくるような感じで。

駅からも近いのでお昼休みのちょっとした遠征にも向いている。

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小盛りの雑穀米とパクチーの彩りもセンスがいい。味だってこれはこれで全然おいしいのだ。(ただ女性向けというだけで・・・)

 

ということで少し物足りないかもしれないが、次である。城北公園通りを渡って豊崎方面つまりさらに東に行く。スパイス通りはいよいよ後半戦。静かにしかし熱い戦いが繰り広げられる豊崎本庄西エリアに向かうこととしよう。

 

大阪中津スパイス通り(3)


中津のカレー店で言うとSOMAはたぶん西の端にある。そこからカンテは商店街を抜けた北側にあるのでずいぶん離れているが、ここから東へずっと行くと何軒かカレー屋(カレーをやってる喫茶店も含む)に出会うことになる。大阪のカレー店らしくいずれも曲者ぞろいである。どんどん行こう。

 

まずは商店街を少し入ったところにある、「月と太陽」だ。むかしつんく♂が作ったグループの曲にそういうのがあったがそれとは全く関係ない。

youtu.be

ここはダルバートというネパールカレーメインのカレー店だ。今やインドカレーといえばネパール人がやっている、というくらいの状況ではあるが、逆に純度の高いネパール料理、となると意外と少ない。そんな中でまだ苦戦奮闘中といった風情ではあるがこの店も推しておきたい。

osakacurrystation.blog.jp

 

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ダルバート」店先を撮影。堂々たる「カレー」な外観。

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月と太陽ダルバート

カレーなのだが、ネパール風定食といった感じもあってなかなかいける。暗いうえにトリミングも悪いのでよくわからないと思うが、ワンプレートにいろいろな常備菜のような料理(スパイシーなものだけではなく普通の味付けのやつも多い)がついていて、さらに汁物の代わりにカレーがあるという感じ。おかず5種盛り(写真は5種盛り)と10種盛りがあってそれぞれ880円と1380円。ちょっと高いが10種盛りがおすすめ。自分が5種盛りを頼んで少し後悔したからだ。あと、ランチのみの営業も多いカレー店の中でここはしっかり飲み屋使いもできる。そこもいい。エスニック好きの友人と静かな中津の夜をスパイシーに楽しむなんていうのもなかなか乙なものである。

 

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次に、一度入った中津の商店街を戻って少し地下鉄の駅に向かったところにあるのが「梵平」である。名前の通りムンバイのカレー・・・と思うと少し肩透かしを食らうかもしれない。ここの売りは本格インドカレーと麻婆カレーの合いがけである。(時々変わる)

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こんな感じのカレーである。あっさり風味に見えるかもしれないが、結構な濃さだ。

麻婆とカレー?というと不思議に思う人も多いが、実はこの二つ、物凄く相性がいい。家でも妻にキーマカレー(ルーは市販)と丸美屋麻婆で作ってもらったのだが(妻もこの店のカレーは大好きなので二つ返事で引き受けてくれた。感謝)もう間違いない旨さである。カレーと麻婆の相乗効果。一粒で2度おいしい、ではなく一皿で5品分くらいの値打ちがあった。

もちろん梵平のカレーも凄くうまい。全部食べるころには冬でも体が熱くなってくるくらいのスパイス感もある。特にインパクトあるのが花椒だ。さわやかで辛くて主張の強いスパイスが舌を心地よく刺激する。普通盛りですらおじさんでも十分すぎるくらいのたっぷりのご飯がこの香りにブーストされてスルスルと胃袋に吸い込まれていく。やばい、だがもう遅い。気が付くとおなかいっぱいだ。昼から腹が落ち着くまでは少し仕事のペースを落としたほうがいいかもしれない。

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「梵平」(左端の店)外観。間借りカレーなので営業時間外は夜間営業の鉄板居酒屋「テケレッツ」の暖簾になる。

カウンターだけのお店は毎日そんなおじさんで一杯だ。だが若者たちも言葉少なにガンガン食べる。そして女子も。ただしここに来るくらいの女性は強者だ。大盛をぺろりと平らげて帰る美女も見かける。ただ一つだけ注意してほしい。ごはんがなくなったら終わりの店なので、大盛を頼んで残すのはもはや人でなしの所業である。人に優しく、の言葉を胸に、盛りのチョイスは慎重にお願いしたい。

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メニュー。ランチ営業のみなので注意。13時過ぎには平日でも大体売り切れる。

ランチだけなのに酒のメニューが多いのはご愛敬。昼酒にやたら寛容なのも大阪っぽい。

ちなみにここのオーナーはこんな人だ。

twitter.com

御覧の通り本業はデザイナーだ。デザイナーの兼業にもかかわらず月と太陽もダイヤモンドビリヤニも梵平も全部この人がオーナーだ。さらにもう1軒作るつもりらしい。中津を制覇する野望でもあるのだろうか?まあ今の調子でいい店を作ってくれるなら大歓迎だ。ちなみにSOMAのオーナーはミュージシャンらしい。中津カレーは兼業カレーだ。間借りに兼業。なんだかだらしない感じもするが、音楽やクリエイティブで鍛えられたセンスは本物だ。そこに絶妙な味覚のセンス、そしてカレーを極める趣味人としての熱心さ。それらがあればスパイスカレー店としての資格は十分すぎるくらいだ。しかし、オーナーである彼らはどう思っているのだろう。一度聞いてみたいとはおもうけれど自分が彼らほどビジネスマンとしてのセンスがあるとは思えないので今のところは心に秘めておこうと思う。本当に素晴らしい。

スパイス通りはまだまだ続く。上の画像にもあるが長屋の3軒横にはもうダイヤモンドビリヤニがある。

www.hotpepper.jp

そして3分ほど歩くと次は「Think食堂」だ。

www.hankyu.co.jp

ここまで徒歩で行くと5分くらい。ンケリコに寄り道しても店に寄らなければ10分くらいのものだろう。立ち寄る店に迷うのも楽しい。もちろんスパイスフード以外にも魅力的な店はあちこちにある。ランチ難民になることは稀だろう。しかし、このスパイス通りはこれだけで終わらない。まだ城北公園通りまでもたどり着いてはいない。大きなバス道を越えてずっと東に延びている。散歩はまだ始まったばかりだ。